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ご注意くださいこの回だけでも予想外に話が成立してしまっていますが、実際は【PART3】を踏まえた内容になっております。
【PART3】をスキップして、この回をお読みになられた場合、趣旨が判然としないと思われます。予めご了承ください。
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語りつくせぬものをなんとか語りきってしまわんとばかりに1時間半。
初めに設定しておいたタイムリミットだったが、「あ、あと、もうちょっと。これだけ」と時計を気になさり、ためらいながらも、急発進でビジネス向けの「Be a clown!」まで話してくださった。
今年出版なさるビジネス本の内容の一部だそうだ。
が、私が中途半端なことを書くよりも、大棟さんの著書を読んでいただくほうが間違いがないと思うので、ここでは割愛しておきたい。
最後の最後まで全力疾走して、大棟さんは演壇を下りた。
そのときだ。
驚愕した。
ことほど左様に人が変貌するのは見たことがない。
つい今しがたまで、堂々とユーモラスにそして闊達に話しきっていたその方が、恥ずかしそうに頬を上気させ、背を丸めて小さくなっていらっしゃるのだ。
そしてそのまま、会場の端をとおり、外へトコトコと歩いて出て行かれた。
その姿は、大棟耕介先生でもなくクラウンKさんでもなかった。
元々、大棟さんは人前で芸をするような性格ではなく、恥ずかしがりやだという。
まさにその姿を見たような気がした。
その後、アンケート用紙に感想の記入を促された。
が、私は書かない。この頭はこういう場で考えがまとまるようにはできていないのだ。
はなから書くのは諦め、その時間、私はクラウンさんたちを観察することにした。
この人たちは、本当にいつまで眺めていても飽きない。
講演中も、大棟さんがメンバーの側へ近づいた際、ちらちらと様子を見ていた。
大棟さんのお話に対してどんな反応をしているのか、純粋かつ下品な欲求を満たすためだ。
ほかの聴衆が、どういう話の際にどういう反応をするのかも伺っていた。
総じて興味深かった。
相変わらず、うろんな客であると思う。
そろそろ疎まれているかもしれない。
しばし時をみて席を立った。
通路では若い女性たちが、大棟さんへ熱心に質問を投げかけている。
このまま軽く挨拶をして帰ってしまったほうがご迷惑にならないかもしれない、とも思ったが、そうあっさりと帰れるような立場でも心境でもなく、ショーのとき同様何となく順番が来るのを待つ。
さて、怪しい客に番が回ってきた。
そしてここでも少々驚く。
(あれ? 意外と小さい……?)
ショーのときに被っていらっしゃる背の高い帽子がない分、大棟さんは随分と小柄に見えた。
そしてここでもまた新たな驚きに見舞われた。
大棟さんが私に頭を下げながら、思いもよらぬことをおっしゃったのだ。
「生意気言いましてすみません」
……え? は?? なぜ???
謝られる理由に皆目覚えがない。
ひょっとしてもしかすると、もはや疎まれているなどというレベルではなく、恐怖されているのだろうか……?
……いやいやここはやはり、大棟さんの謙虚さの表れと解釈しておきたい。そうしておこう。
驚きはそのあとも続いた。
体の奥に残っていた疲労感がきれいさっぱりなくなって、羽が生えたように軽くなっているではないか。これほどすっきりとしたのはいつ以来だろう。
さらに翌朝、健やかに早起きまでしてしまった。
私にとって自力で早起きはまず有り得ないことだ。
今回、私がお会いしたのは「クラウン」ではなかったが、クラウンの魔法はここでも顕在だった。
クラウンの恰好をすればだれしも俄か道化にはなれる。しかし、それは道化師ではない。
大棟さんは道化の扮装をして病院をまわっていると表現するマスコミもあるが、それは明らかな誤謬だ。
奇跡は、クラウンに扮する人が起こすのではなく、クラウンのスピリットをもつ人によってもたらされるものなのだ。







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