4/29に開催されたクラウンKさんのパフォーマンスショーの記録です。
13:30〜と15:30〜の2回観てまいりました。
まずは、第1話からどうぞ。
ひとつ前のお話はこちらです。
【 第6話 】
クラウンKさんは、まるで一冊の分厚い本です。
Kさんが出ているテレビ番組を見たり、直接Kさんに会ったりするたびに、私はその本をずしんと感じます。
その本には、私が身につけなければならないことと、捨てなければならないことが書かれている気がするので、それをどうにかして読み解きたいと願っているのですが、むずしくてなかなかうまくいきません。
なぜって、その本に書かれているのは、謎のことばなのです。
その日の最後のショーがすんで、バルーンをひととおり配り終えると、お客さんはごくわずかになりました。
最後まで残ったのは、Kさんの顔見知りらしい家族連れと私だけです。
Kさんはこの2組のためにだけ、まだ楽しいジェスチャーと冗談をつづけて笑わせてくれました。
劇場でのショーのとき、Kさんと間近で出会えるのはほんの一瞬です。
「こんにちは!」といって、きゅっと握手すると、その次には、Kさんはもう別の人と握手をしています。
こんなに近く長くKさんの姿があるなんて、ちょっと信じられません。
なんて幸運でぜいたくな時間だったことでしょう。
最後にKさんとお別れの握手をしました。
本当は、もっと早くさよならをして、はやくKさんを休ませてあげるほうが親切だったと思います。
でも私は、すぐ目の前にいるその人の謎を少しでも解いてから帰りたいという気もちで、どうしてもその場を去ることができませんでした。
Kさんは、「店のなかをひとまわりしてから帰ります」と言うと、パフォーマンスの道具がつまったトランクをさげて歩き始めました。
その姿を見送りながら考えました。
店のなかにはお客さんがほとんどいません。
Kさんの後ろを追っている人もだれもいません。
子どもたちやほかのお客さんにまぎれながらついていこうと思っていたのに、あてが外れてしまいました。
想像してみました。
がらんとした店内で、中年の小さい女が一人、巨体の男性クラウンを追跡している図。
なんとも趣味の悪いコラージュです。
ところが、気づいたときには、私は前衛芸術を創作していました。
数十メートルはなれたところから、Kさんのあとをずっとついていったのです。
つづきを読む→
13:30〜と15:30〜の2回観てまいりました。
まずは、第1話からどうぞ。
ひとつ前のお話はこちらです。
* * *
【 第6話 】
クラウンKさんは、まるで一冊の分厚い本です。
Kさんが出ているテレビ番組を見たり、直接Kさんに会ったりするたびに、私はその本をずしんと感じます。
その本には、私が身につけなければならないことと、捨てなければならないことが書かれている気がするので、それをどうにかして読み解きたいと願っているのですが、むずしくてなかなかうまくいきません。
なぜって、その本に書かれているのは、謎のことばなのです。
その日の最後のショーがすんで、バルーンをひととおり配り終えると、お客さんはごくわずかになりました。
最後まで残ったのは、Kさんの顔見知りらしい家族連れと私だけです。
Kさんはこの2組のためにだけ、まだ楽しいジェスチャーと冗談をつづけて笑わせてくれました。
劇場でのショーのとき、Kさんと間近で出会えるのはほんの一瞬です。
「こんにちは!」といって、きゅっと握手すると、その次には、Kさんはもう別の人と握手をしています。
こんなに近く長くKさんの姿があるなんて、ちょっと信じられません。
なんて幸運でぜいたくな時間だったことでしょう。
最後にKさんとお別れの握手をしました。
本当は、もっと早くさよならをして、はやくKさんを休ませてあげるほうが親切だったと思います。
でも私は、すぐ目の前にいるその人の謎を少しでも解いてから帰りたいという気もちで、どうしてもその場を去ることができませんでした。
Kさんは、「店のなかをひとまわりしてから帰ります」と言うと、パフォーマンスの道具がつまったトランクをさげて歩き始めました。
その姿を見送りながら考えました。
店のなかにはお客さんがほとんどいません。
Kさんの後ろを追っている人もだれもいません。
子どもたちやほかのお客さんにまぎれながらついていこうと思っていたのに、あてが外れてしまいました。
想像してみました。
がらんとした店内で、中年の小さい女が一人、巨体の男性クラウンを追跡している図。
なんとも趣味の悪いコラージュです。
ところが、気づいたときには、私は前衛芸術を創作していました。
数十メートルはなれたところから、Kさんのあとをずっとついていったのです。
つづきを読む→
Comment
コメントの投稿
Track Back







infoseek.jp