まずは前回の記事からどうぞ* * *
演題は「主役の子どもにしかってもらう」。
ビジネス系の講演が多い中、今回はホスピタルクラウンそのものに焦点をあてたお話を聴かせてくださるそうだ。
講演開始を待つ間、会場の正面のスクリーンに『NONFIX』が映写されている。
10分見ただけで眠れなくなってしまったドキュメント番組だ。
この後、ご本人から直接お話を伺ったら、どうなってしまうのだろう。
そんなことを考えながら、しかしなぜか不安はなかった。
クスクスさんからプレジャーBのショーの宣伝、副理事長の原田さんのMC、同じく副理事長の池崎さんの挨拶が終わると、いつの間にやら聴衆の後ろへ立っていらした大棟さんが演壇へと進む。
大棟さんの乗り気とやる気は頭の剃り具合で判る――そんな勝手なものさしで測れば、今日のは一層気合を感じさせる剃り方だ。
「いつもはこんな調子じゃないんですが、今日は地元の方ばかりということですので、自己紹介は省略して最初から飛ばしていきます! 」
その日2本目の講演ということもあり、かなりテンションが上がっていらしたそうである。 メニューを他の講演よりも増やしていたというところからも、意気込みが伺えた。
淡いオレンジピンクのシャツといういでたちも珍しいのではないだろうか。
この講演は、大棟さんにとって特別なものであるに違いない。
「僕の仕事は、空気を変えることです」
宣言どおり、講演は初っ端からトップギアで滑り出した。
黒柳徹子さんを思わせる早口で、息つく間も惜しむように次から次へと語られていく。
その9割以上は、ネット上の情報(リンク集)、雑誌(『ガンダムエース』『婦人之友』ほか)、テレビ(『NONFIX』『未来図鑑』)、ラジオ(『ラジオドキュメンタリー〜笑顔の先にあるもの〜』)、Kさんのブログ、書籍(『ホスピタルクラウン 病院に笑いを届ける道化師』)、パッチ・アダムスとのロシアの病院訪問日記などで、読んだり聞いたりしたものだったが、ご本人の口から直接伺うと、断片がつながり行間が埋められ、立体感のあるエピソードとなって迫ってくる。
現場でたたき上げている人しかもち得ないしたたかさが、背後に見えるようだ。
予備知識をそれなりにもち合わせていた私は、復習授業を受けているような気分になった。
が、退屈した時間は、びた1秒とてない。ひたすらに聞き入った。
終始笑いに満ちた講演だったから、という理由ばかりでもない。
大棟さんの存在そのものが雄弁なのだ。
これから大棟さんの講演会に赴かれる方は予習なさっておくとよいと思う。
特に、大棟さんを招聘せんとする企画者は、『ホスピタルクラウン 病院に笑いを届ける道化師』以外のものを片っ端から読むなり聞くなりしておくべきだろう。
どんなものであれ、編集の手が入っているものは、事実ではあっても真実ではない。
が、多くのものに触れてゆけば、共通項から幾ばくかの真実を予測することは可能になる。
さらに、できることならクラウンKさんに会っておきたい。そして、接客の様子をしっかり見ておくことをお勧めする。
自身で観察したことを話の中に摺り合せて聴けば、説得力に格段の差が出ることは間違いない。
その意味では、自分がたいそう贅沢な聞き手であったことに今更ながら気づく。
だが私は、医療従事者でもなければ、パフォーマーでもない。福祉にもボランティアにも興味はない。
私などよりもっと切実に聴かねばならぬ人はいるだろうに――。
なぜここにいるのは私なのだろう。
【PART3】の閲覧方法は?
Comment
コメントの投稿
Track Back







infoseek.jp